民族差別というものが根底にはあります。でも、それは逆境というひとつの制約の形を表しているのであって、これを殊更に注目すべきではないのかもしれません。逆境に押し潰されそうになりながら、それ跳ね除けるバイ…
【本の感想】金城一紀『レヴォリューション No.3』
子供らが高校生になってから、自分の高校時代はどんなだったろうと思い起こすことが多くなりました。
パッとしない高校生生活だったのですが、先日、久々にあった同級生にあの頃の自分はどうだったのか聞いてみたところ、本ばかり読んで、とっつきにくいヤツだったとのことです。やっぱり…
ただ、その同級生は、自分が女の子との仲を取り持ったことがあるので、それ以来、友情を感じていたようですね。そう言われれば、誰かの代理でよく女子に告ってたような気がします。当時、そっち方面の友情にはアツかったのだな(興味本位なんだけれど)。
金城一紀『レヴォリューション No.3』を読むと、高校生活をもっともっと楽しんでおけば良かったと思います。
新宿区の有名進学校ばかりが集まる区画に、陸の孤島のごとく存在するオチコボレ男子校。そこに通学する生徒たちは、まわりから「ゾンビ」と呼ばれています。学歴社会における「生ける屍」、もしくは「殺しても死にそうにない」やつら。
本作品は、ゾンビたち = ザ・ゾンビーズの活躍を描く連作短編集です。
著者の直木賞受賞作『GO』と同様、逆境を跳ね返すバイテリティに圧倒させられる作品です。『GO』は、民族問題をテーマにしているがゆえに重々しさを感じさせるのですが、本作品は読んでいて何とも痛快な気分になります。(リンクをクリックいただけると感想のページに移動します)
おバカなことにも一生懸命、アツい友情で乗り切ります!自分の子供らにも、是非是非、読んでもらいたい。そして、学生生活を思いっきり楽しんで欲しいと思った次第です。
「レヴォリューション No.3」では、ザ・ゾンビーズは、名門女子高の学園祭に乗り込もうと四苦八苦します。ただそれだけなのですが、ゾンビーズ47人の討ち入りは、さながら忠臣蔵のよう。「ラン・ボーイズ・ラン」では、カツアゲされた旅行資金の奪還作戦を決行し、「異教徒たちの踊り」では、ストーカーから女性を護衛するボディーガードの役回りです(作品の並びと時制が前後するので注意されたし)。ザ・ゾンビーズの八面六臂の活躍を見よ!
とんがった登場人物たちが繰り広げる、一本芯の通った彼らなりの正義、清々しい恋愛模様など見所満載です。あぁ、もう一度、あの時代をやり直したい...
本作品が原作の、秋重学 画『レヴォリューションNO.3』はこちら。
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