【本の感想】マーティン・プリマー 、ブライアン・キング『本当にあった嘘のような話―「偶然の一致」のミステリーを探る』

本の感想 マーティン・プリマー 、ブライアン・キング 他『本当にあった嘘のような話―「偶然の一致」のミステリーを探る』

ハッピーアイスクリームってご存知でしょうか。

ちがう人がたまたま同じ言葉を発したら、ハッピーアイスクリームと言って、タッチするという儀式(?)。理由はわからないが良いことあるらしい。先にタッチした方がアイスクリームを奢ってもらえるんでしたか。

偶然の一致っていうやつは、何か良いことがありそうな気がします。芸能人の話をしていたらテレビコマーシャルでご本人が登場したとか、出張先の飲み屋で高校の同級生に出くわすとか、なんてことない偶然でも小さな幸せを感じてしまいます。もちろん良いことばかりではないのですが、どちらからいうと偶然の一致はポジティブな方に気持ちを傾けます。これは自分だけではないでしょう。

マーティン・プリマー、ブライアン・キング(Martin Plimmer & Briai King)『本当にあった嘘のような話―「偶然の一致」(Beyond Coincidence)のミステリーを探る』は、偶然の一致について論考や、様々な事例を集めたものです。

前半が論考、後半が事例という体裁で読みやすいのですが、事例のほうは出典が明らかになっていなくて、”そんなバカな!?”は言いすぎのものもあります。リンカーンとケネディの暗殺にまつわるものや、タイタニック号を予見させる書物の存在という有名な話も網羅しているのだけれど、150近くの事例には都市伝説っぽいものもあって、玉石混合の感は否めません。

自分は、前半の偶然の一致についての科学的な論考に興味をひかれました。偶然の一致というと必ず引き合いに出されるのが、ユングの共時性です。自分は、集合的無意識、つまり人類全体の共有の観念があるのかは懐疑的だったりするのだけど、ロマンチックな概念なので楽しくはあります。本書の場合は、こちらへ一方的に偏るわけではなくて、確率論として偶然の一致を説明しようとする論考も紹介しているし、無関係なものに意味を求めてしまう人の性向についても言及しています。自分には、我々が偶然の一致というちょっとスーパナチュラルな感覚が好きなのは、

偶然の一致とは、おそらく人間の根底にあるものなのだ。私たちは、偶然の一致が生み出すパターンや、リズム、調和性を求めている。偶然の一致は、無秩序な毎日から解放されるひとときを与えてくれる。そしてたぶん、私たちの脳は最初から、偶然の一致を求め、それを作り出すようにできているのだろう。

という著者の説がしっくりくるようです。

ここで、自分が気に入った事例を紹介しましょう。

 レストランの店主のウンベルトは、イタリア王ウンベルト一世と恐ろしくよく似ていました。生年月日も同じ、生まれた町も同じ、結婚記念日も同じ、妻の名前も同じ、息子の名前も同じ。ウンベルト一世が王位についたとき、店主ウンベルトは自分のレストランを開業しました。
 あるとき、ウンベルト一世は、レストランで店主ウンベルトを見て自分によく似ていることを発見します。ウンベルト一世が、店主ウンベルトと話をしてみると様々な類似点が明らかになります。そこでウンベルト一世は、店主ウンベルトにナイトの称号を授け、翌日に開かれる競技会に招待しました。
 翌日、いくら待っても店主ウンベルトは競技会にあらわれません。店主ウンベルトは、銃の事故で亡くなってしまったのです。店主ウンベルトの死を悲しんだウンベルト一世は、葬儀に参列すると宣言します。しかし、それは結局叶いませんでした。その日、ウンベルト一世は暗殺者の銃弾を受け命を落としてしまったのです。

これはどうやら有名な真実のお話しらしいんです。信じるか信じないかは ・・・ 

A sleep trance, a dream dance
A shared romance
Synchronicity

Synchronicity” song by The Police