【本の感想】シオドア・スタージョン『人間以上』

本の感想 シオドア・スタージョン『人間以上』

1954年 国際幻想文学賞受賞作。

シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon)『人間以上』(
More Than Human )は、タイトルがあらわすとおりポストヒューマンものです。超能力少年少女たちが集って、ひとつの個性である集団的有機体(ゲシュタルト・オーガニズム)を形成するという物語。

テレパシーとセントラル・コントロールのローン、テレポーテーションのボニイとビーニイの双子、テレキネシスのジャニイ、高度な知能を有する赤ん坊。彼らは優れた能力を持ちながらも、ひととしてどこか欠落した部分があって、ひとりで生きていくには明るい未来が見えていません。集うことによって全ての人類を凌駕する力を持つのです。

ストーリーは、白痴の青年ローンが、他の能力者と出会いながら、自分たちの生き方を見出していくという展開です。随所に、彼らそれぞれの惨めともいえる暗いエピソードが挿入されています。本作品は、全知全能の単なるヒーローものではないのです。

物語の途中、ローンから後継者ヒップへバトンタッチがなされます。ゲシュタルト・オーガニズムは交代可能な集合体です。しかしながら、彼らは統制を失ったことで、諍い始めます。人間以上でありながら、迷いを抱えている存在のなのです。本作品は、人間の存在そのものを問うているようです。なるほど、石ノ森章太郎『サイボーグ009』の元ネタといわれる所以が、ここにあるのですね。

シオドア・スタージョンの理念を理解しているわけではありませんが、全地球規模の平和的統合を示唆しているのではと感じました。考えすぎかな。

If the kids are united
They will never be divided
If the kids are united
They will never be divided

“If The Kids Are United” song by Sham69
石ノ森章太郎『サイボーグ009』

本作品が元ネタの、石ノ森章太郎『サイボーグ009』はこちら。