【本の感想】伊藤たかみ『ぎぶそん』

本の感想 伊藤たかみ『ぎぶそん』

2006年 第21回 坪内譲治文学賞受賞作。

ガンズ・アンド・ローゼズに憧れるガクは、ギターが上手いと噂の かける にバンド参加を呼びかけます。メンバーは、ベースのマロと、ドラムのリリィ。でも、ガクに比べてマロは乗り気ではありません。かける は、ガクらが通う中学の問題児だったのです ・・・

『ぎぶそん』は、芥川賞作家である伊藤たかみ のライトノベルです。

読者の対象はガクらと同じ中学生なのでしょうが、大人が読んでも十分に楽しめる青春小説です。むしろ、疲れ気味の社会人への一服の清涼剤となると思います。

ストーリーは、ガクらが、バンド内で発生する様々な問題を解決しながら本当の仲間になっていく姿を描いていきます。音楽系ドラマの王道として、ありがちというか、教科書的ではあるのですが、このあるある設定が心地よいですね。わかっちゃいるが、クライマックスの文化祭の演奏シーンで結実する一体感は感動ものなのです。

泣き虫ガクとリリィの恋の行方も見逃せません。いつ、どっちから、どうやって告白するの、と年甲斐もなくワクワクしてしまいます。このときの関西弁が実にいいんです。

本作品の背景は、年号が平成にかわる頃。自分はもう少し前の世代なのですが、随分前から、ガクらのような無邪気な中学生っていなくなったと感じています。本作品は、今となってはファンタジーの世界ではあるのかなぁ。読み終えたとき、じんわりと胸が熱くなるのは、帰らぬ日々を思ってということだけじゃなさそうです。

ちなみに、タイトルの「ぎぶそん」は、かける のギター ギブソンのフライングVからきています。かける のじいちゃんが、バンド仲間を ぎぶそん と呼ぶのです。こういう、ほっこり感が著者の魅力なんだよね。

作品中に登場するガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N´ Roses )。彼らの名曲、「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」(Sweet Child O´ Mine) はこちら。

She´s got a smile that it seems to me
Reminds me of childhood memories
Where everything was as fresh as the bright blue sky

“Sweet Child O´ Mine” snog by Guns N´ Roses
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