【本の感想】大野茂『2時間ドラマ 40年の軌跡』

大野茂『2時間ドラマ 40年の軌跡』

子供の頃に観た2時間ドラマは、不必要とも思えるお色気シーン(死語)が沢山あって、お茶の間を凍りつかせたものです。いや~、気まずかった。今は、コンプラ(?)なのか、スポンサーのご意向なのか、そのようなドキドキはありません。今時の子供らは、スマホでもっと、どぎついのを観ているだろうから、何てことないと思うんですけど。

大野茂『2時間ドラマ 40年の軌跡』は、 懐かしの土ワイド、火サスに代表される2時間ドラマの制作奮闘史です。

テレ朝の企画立ち上げから、ライバルの出現、我も我もな群雄割拠の状態への突入から終焉までが、当時のプロデューサーらのインタビューで回想され、解説がなされていきます。監督、脚本家、役者、原作者、系列テレビ局・ライバル局との丁々発止は興味津々です。(今でもそこそこの毒を吐いています)

じっくり読み込む本ではありませんが、つらつらと眺めていると、如何にして視聴率を取っていくか、その戦略が薄っすらと見えてきます。視聴者として、まんまとその手に乗っかっていたようです。

本書は、テレビ制作に関わるプロの情熱が迸る良書です。関係者の皆さんは、よいお歳になられましたが、その当時(パワハラなんて言葉が生まれるずっと昔)はオラオラだったのです。そういう力技が、名作の数々を生んだのでしょう。

番組の一覧を見ると、(当時のエッチなワクワクく共に)懐かしさに浸ることができます。個人的には、江戸川乱歩シリーズで天知茂=明智小五郎が、ふふふと正体をみせるシーンがツボでした(ふふふは言っていないか)。「非情のライセンス」とキャラがかぶっていたような気がしないでもありませんが。

『江戸川乱歩シリーズ』

こちら、1977年から1985年に制作された天知茂 主演『江戸川乱歩シリーズ』のDVDボックスのパッケージです。渋い・・・