【本の感想】黒武洋『そして粛清の扉を』

本の感想 黒武洋 『そして粛清の扉を』

2000年第1回ホラーサスペンス大賞受賞作。

黒武洋『そして粛清の扉を』は、学園バイオレンスもので教師 V.S. 生徒の構図で物語は進みます。自分が読了した作品では、湊かなえ『告白』貴志祐介『悪の教典』ジョー・ゴアズ『野獣の血』が思い浮かびます(興味があればリンクから感想を参照ください)。

極悪不良高校生1クラス29名を校内に人質にとった中年女性教師 近藤亜矢子。要求は一人につき2千万の身代金。教師は、生徒それぞれの罪悪を暴きながら、装備した拳銃とナイフでまさに血の粛清をおこなっていきます。

なんの躊躇いもなく、淡々と生徒たちを殺戮していく 亜矢子 。 暴露される高校生の極悪ぶりに、萬屋錦之介主演のテレビドラマ『破れ傘刀舟悪人狩り』の名セリフ「 てめえら人間じゃねえや!叩っ斬ってやる!」を思い出し、 快哉を叫びたくなります 。彼女を阻止せんとするもののいとも簡単に手玉にとられる警察特殊部隊の面々。どうも金目当てではなさそうなのは早々に気が付くので、動機が興味の中心です。

中年女教師の武器や暴力に長けた様といい、死屍累々たる教室の風景といい、現実感が甚だ乏しいのですが、この手のものはこれくらいの無軌道ぶりがちょうど良いのかもしれませんね。

とはいうものの、暴いては粛清、暴いては粛清(たまに生徒らの反撃)の淡々さが続くと飽きがきます。それを察したかのごとく、おっ!となり、おおっ!となり、おおおっ!となりと、本作品の冒頭の一コマと結びついて 意外なクライマックスを迎えてくれるんです。この驚きなければ、ただの残酷物語でしょう。

本作品が受賞したホラーサスペンス大賞は2000年の第一回から、2005年の第六回まで。権威がつくまでには至りませんでしたか。消えちゃう文学賞って、まま、ありますよね。なんで?は気になるところです。

2019年日本テレビで放送された 菅田将暉主演のドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』の第一話は、本作品に酷似してると思いましたが全く違う展開で幕を閉じました。

3年A組-今から皆さんは、人質です