【本の感想】桂望実『嫌な女』

本の感想 桂望実『嫌な女』

桂望実『嫌な女』は、縁戚の結婚詐欺師の女 小谷夏子に翻弄され続けられた女性弁護士 石田徹子の物語です。弁護士になりたての二十代から、引退し後進の良き相談相手になっている七十代まで、同い年の詐欺師の起こす様々な事件に関わります。

事件を起こす度に徹子に弁護をすがる夏子。おいおい、またかよ。でも何故か徹子は、夏子を邪慳にできません。

この嫌な女(とういうかダメな女)の人となりは、徹子や被害者周辺から語られるだけです。間接的にしか夏子を登場させずに、キャラクターを作りあげていく手法が面白いですね。想像がふくらみます。当初、嫌悪しかなかった徹子の感情は、時を経て自身が成し得なかったものへの淡い羨望のようなものへと揺れ動いていきます。

ダメ女だけれど憎めない。だから結婚詐欺師を続けられるんでしょう。読み進めていくうちに夏子がチャーミングに見えてくるから不思議です。おそらく、自分もダメ女に騙されるクチですね。奪われるほどの財産なくて良かった・・・

不器用で堅物で孤独な徹子。自由奔放な嫌な女との関わりが、年齢とともに徹子の精神的な成長を促していきます。どちらがより良い人生なんていえない。自分らしく生きる。結局のところ、本作品は、人生のあり方を問うているわけですね。

世間で友情と呼ばれているものは、その場限りの優しさを見せ合う関係をさす。

痛烈ですが、同意です。

 NHKプレミアム 黒木瞳、鈴木保奈美出演の『嫌な女』

本作品が原作の、2016年 NHKプレミアム 黒木瞳、鈴木保奈美出演の『嫌な女』はこちら。

黒木瞳監督、吉田羊、木村佳乃出演『嫌な女』

本作品が原作の、 2016年公開 黒木瞳監督(初監督!)、吉田羊、木村佳乃出演『嫌な女』はこちら。

映画「嫌な女」