【本の感想】ジェイムズ・クラムリー『酔いどれの誇り』

ジェイムズ・クラムリー『酔いどれの誇り』

1984年 週刊文春ミステリーベスト10 海外部門 第5位 。

ジェイムズ・クラムリー(James Crumley)『酔いどれの誇り』(The Wrong Case)(1975年)は、 ミルトン・チェスター・ミロドラゴヴィッチ三世(ミロ)シリーズ第一弾です。 

”婚姻の解消”が専門の私立探偵ミロへ、ヘレン・ダフィからの依頼は、行方不明の弟、レイモンドの捜査でした。悪態を吐きながらも、彼女の魅力に抗えないミロは、調査を開始することにします。程なくして、レイモンドの死亡が判明するのですが、するとヘレンは、次に弟を殺害した犯人を捜してくれと言います ・・・

神様が公認している職業 酔っぱらい だけに、主人公が全編を通じて素面の状態が殆どないというハードボイルドです。

ミロは、メリウェザー(架空の都市)で、遺産が手に入る53歳まで鬱勃と酒を飲む日々を送ろうとしています。悪態をつく、キレる、暴力を振るう(でも、強くない)。アルコールだけじゃなくドラックも嗜みます。アンチヒーローぶり甚だしいのですが、このダメさ加減が愛すべき探偵ミロの魅力でしょう。酒と血の匂いぷんぷんで、読んでいるうちにこっちまで、酩酊してしまいそう。

登場人物たちも普通じゃありません。アンダーグラウンドな世界へようこそですね。1975年の作品ではあるけれど、古さは全く感じさせることはありません。 

事件の顛末より、ミロや登場人物たち、街の空気感が印象的です。引き続き、ミロの活躍(?)を追っかけてみたくなります。 

若干意味の通らない文章があるのですが、ここは、自分の読みが浅いってことなのかなぁ ・・・

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